目次

生成AIを使った仕事99件の調査。「AIがなければ受けていなかった」38.4%を示した記事サムネイル

生成AIを仕事で使う場面は、もう珍しくなくなった。文章を書く、調べものをする、画像を作る、コードを書く、Excelを触る。ChatGPTをはじめとした生成AIが実務に入り込んでいることは、体感としては誰もが知っている。

ただ、実際のところはどうなのか。どんな仕事で使われているのか。仕事のどこまでAIに任せているのか。AIが作ったものをそのまま納品しているのか。そして、AIがなければその仕事をそもそも受けていたのか。こういう実態は、意外と見えにくい。

そこで国内のクラウドソーシングサービス上でアンケートを募集し、「生成AIを使って実際に行った仕事」について、92人から寄せられた99件の仕事を集計した。

調べてみると、単に「ChatGPTを使って仕事が楽になった」という話ではなかった。今回もっとも興味深かったのは、AIがなければその仕事を受けていなかった可能性がある仕事が38.4%あったことだ。しかも、仕事の中でAIを使う割合が高いグループほど、この数字は大きかった。

生成AIは既存の仕事を効率化しているだけではなく、これまでなら受けなかった仕事を「受けられる仕事」に変えている可能性がある。一方で、報酬を見るとかなり厳しい仕事も多い。今回は、その両面を見ていく。

生成AIを仕事で使った99件を調査

アンケートは、国内のクラウドソーシングサービスで、生成AIを使って実際に仕事をした経験がある人を対象に募集した。1件の回答につき、実際に行った1つの仕事について答えてもらっている。

収集した回答は100件。そのうち1件は、仕事を始めた時期・仕事の期間と、その仕事で使用したと回答された生成AIの公開時期がすべて両立しなかったため、分析対象から外した。この記事では残りの99件を分析対象にしている。

99件の回答は、92人から寄せられたものだ。7人がそれぞれ別の仕事について2件ずつ回答している。そのため、この記事では回答者の人数ではなく、1件=実際に行った1つの仕事として数えている。以下の割合は、断りがない限りこの99件を分母にしたものだ。

回答の性格も先に書いておく。受注経路を複数回答で聞くと、アンケートを募集したのと同じクラウドソーシングサービス経由の仕事が68.7%を占め、仕事のカテゴリも48.5%がライティング・記事制作だった。仕事を始めた時期は2026年が55.6%、2025年が30.3%で、直近2年に始まった仕事が85.9%になる。

だから、この結果を「日本全体の生成AI利用者」の傾向として読むことはできない。あくまで、クラウドソーシングを中心に集めた、生成AIを実際の仕事で使った99件として見てほしい。

生成AIが使われた仕事の48.5%はライティング・記事制作

もっとも多かった仕事のカテゴリは、ライティング・記事制作の48.5%だった。ほぼ半分が「書く仕事」になる。

生成AIを使った仕事のカテゴリ TOP5(n=99)

単一回答。「その仕事の主なカテゴリ」として選ばれたもの。

ライティング・記事制作48.5%
データ入力・事務作業14.1%
画像・イラスト制作8.1%
リサーチ・情報収集5.1%
動画制作・動画編集4.0%

ライティング・記事制作が48.5%で、2位のデータ入力・事務作業(14.1%)を大きく引き離している。

具体的な仕事内容を複数回答で聞くと、上位はこうなった。1件の仕事で複数の作業を選べるので、合計は100%を超える。

  • ライティング:53.5%
  • リライト・文章修正:24.2%
  • データ入力:13.1%
  • 商品説明文・紹介文作成:11.1%
  • 情報収集・リスト作成:10.1%
  • Webリサーチ:10.1%

プログラミングやWeb制作、Excel、画像生成、動画生成といった仕事もあったが、今回の回答では、やはり文章まわりの仕事で生成AIが多く使われていた。

仕事で使われた生成AIはChatGPTが80.8%

その仕事で使ったAIを複数回答で聞くと、もっとも多かったのはChatGPTだった。8割を超えている。2位のGeminiが44.4%で、3位のClaudeは13.1%と大きく離れる。

その仕事で使った生成AI TOP7(n=99・複数回答)

複数回答。1件の仕事で複数のAIを選べるため、合計は100%を超える。

ChatGPT80.8%
Gemini44.4%
Claude13.1%
Microsoft Copilot11.1%
Perplexity4.0%
Grok3.0%
NotebookLM3.0%

1件の仕事で使われたAIは平均1.7種類。ChatGPTだけ、という仕事も多い。

ただし「AIを使った」といっても、完成物を丸ごと生成させているとは限らない。AIを何に使ったかを複数回答で聞くと、上位はこうなる。

  • 文章作成:40.4%
  • アイデア出し・企画:39.4%
  • 調査・リサーチ:37.4%
  • 文章修正・校正:36.4%
  • 情報整理:30.3%

生成だけではなく、考える・調べる・整理する・直すという工程にも、かなり広く使われている。

仕事の半分以上を生成AIに任せるケースも珍しくない

仕事全体のうち、AIをどのくらい使ったかも聞いた。

仕事全体のうち生成AIを使った割合(n=99)

単一回答。回答者自身の感覚で5段階から選んでもらった。

63.6%
AI利用割合が41%以上だった仕事
34.3%
AI利用割合が61%以上だった仕事
1〜20%程度(ほとんど使っていない)7.1%
21〜40%程度(一部で使った)29.3%
41〜60%程度(半分くらい使った)29.3%
61〜80%程度(大部分で使った)23.2%
81〜100%程度(ほぼAIを使った)11.1%

この記事では以降、1〜40%(36件)・41〜60%(29件)・61〜100%(34件)の3グループに分けて見ていく。

仕事の41%以上でAIを使った回答は63.6%。さらに、**61%以上をAIに頼った回答も34.3%**ある。

生成AIを少し補助的に使うだけではなく、仕事のかなり大きな部分をAIと一緒に進めているケースは、今回の回答では珍しくなかった。

AIが作ったものを「ほぼそのまま納品」は8.1%

AI利用割合が高いなら、AIが作ったものをそのまま納品している人も多いのではないか。そう思ったが、実際には違った。

AIが作ったものを人間がどのくらい修正したかを聞くと、「ほぼ修正していない」は8.1%にとどまった。もっとも多いのは「少し修正した」の52.5%で、「かなり修正した」も30.3%ある。

AIが作ったものを、人間がどのくらい修正したか

全体(99件)と、AI利用割合61%以上の仕事(34件)を並べた。単一回答。

8.1%
ほぼ修正せずに納品(全体)
82.3%
AI利用61%以上でも、何らかの修正をした
ほぼ修正していない
全体8.1%
61%以上11.8%
少し修正した
全体52.5%
61%以上58.8%
かなり修正した
全体30.3%
61%以上20.6%
ほぼ作り直した
全体3.0%
61%以上0%
何度も作り直した
全体2.0%
61%以上2.9%
AIは完成物の作成には使っていない
全体4.0%
61%以上5.9%

「61%以上」はAI利用割合が61〜100%だった34件。少し・かなり・何度も作り直した、の3つを合わせると82.3%になる。

AIを仕事の61%以上で使った34件だけを見ても、「ほぼ修正していない」は11.8%だった。少し修正した58.8%、かなり修正した20.6%、何度も作り直した2.9%を合わせると、**何らかの修正をしている回答は82.3%**になる。

少なくとも今回の回答を見る限り、AIに任せてそのまま納品する、という単純な仕事の仕方が主流になっているわけではない。AIで作り、人間が確認して、修正して、納品する。こちらのほうが実態に近い。

このあたりは、僕自身がClaude Codeと開発しているときの感覚とも近い。AIの「できました」をそのまま完成とは思わなくなった経緯は、Claude Codeの「できました」は、たぶんできてないに書いた。文章でもコードでも、AIの出力のあとに人の確認と修正が挟まる構造は同じらしい。

AIがなければ受けていなかった仕事が38.4%

今回、特に聞きたかった質問がある。もしAIがなかったとしても、その仕事を受けていたか、というものだ。

  • 受けていた:17.2%
  • たぶん受けていた:37.4%
  • たぶん受けていなかった:25.3%
  • 受けていなかった:13.1%
  • わからない:7.1%

「たぶん受けていなかった」と「受けていなかった」を合わせると、38.4%になる。約4割の仕事は、AIがあったからこそ受ける判断につながった可能性がある。

さらに、AI利用割合の3グループで分けると、差はかなり大きかった。

「AIがなければ、その仕事を受けていなかった」と答えた割合

「たぶん受けていなかった」と「受けていなかった」の合計。AI利用割合の3グループ別(n=99)。

8.3%

AI利用
1〜40%

3件 / 36件

41.4%

AI利用
41〜60%

12件 / 29件

67.6%

AI利用
61〜100%

23件 / 34件

AI利用割合の高いグループほど、この割合が高かった。AIを使ったから受けられるようになった、という因果関係までは、この調査では分からない。

8.3%、41.4%、67.6%。1〜40%のグループと61〜100%のグループでは、約8倍の開きがある。

もちろん、このアンケートだけで「AI利用割合が高いから仕事を受けられるようになった」と因果関係まで言うことはできない。もともとAIに向いた仕事だからAIを多く使い、その仕事はAIがなければ受けていなかった、という順番でも同じ数字になる。99件は92人からの回答なので、全件を独立した標本とみなす統計的な検定も、今回は主張の根拠にしていない。

それでも、少なくとも今回の99件では、AI利用割合の高いグループほど「AIがなければ受けていなかった」割合が高かった。これははっきりしていた。

生成AIは単に同じ仕事を速くするだけではなく、個人が引き受けられる仕事の範囲そのものを広げている可能性がある。

生成AIを多く使うほど仕事の品質は悪くなるのか

では、AIに頼る割合が上がるほど品質が落ちて、修正依頼が増えるのだろうか。今回の回答では、そう単純な傾向は見えなかった。

その仕事の結果を「問題なく完了した」と答えた割合は、次のとおりだ。

  • AI利用1〜40%:75.0%
  • AI利用41〜60%:89.7%
  • AI利用61〜100%:79.4%
  • 全体:80.8%

納品後、クライアントからの修正依頼が0回だった割合も並べる。

  • AI利用1〜40%:69.4%
  • AI利用41〜60%:79.3%
  • AI利用61〜100%:70.6%
  • 全体:72.7%

AI利用割合が高いほど成果が悪化するという単純な傾向は、今回の99件では確認できなかった。

ただし、これは「AIをたくさん使っても品質は落ちない」という意味ではない。各グループは36件・29件・34件と小さく、仕事内容も本人の経験もAIの使い方もそれぞれ違う。差がないと言い切れるわけでもない。今回確認できるのは、この99件の範囲では悪化する方向の単純な傾向が見えなかった、というところまでだ。

生成AIの仕事は低単価?報酬1,000円未満が43.4%

ここまでを見ると、「AIでできる仕事が増えた」という明るい話にも見える。ただ、報酬を見ると印象は変わる。

その仕事の報酬と、かかった作業時間(n=99)

43.4%
報酬が1,000円未満だった仕事
65.7%
作業時間が3時間以上かかった仕事

報酬帯の分布

200円未満24.2%
200〜499円8.1%
500〜999円11.1%
1,000〜2,999円16.2%
3,000〜4,999円10.1%
5,000〜9,999円15.2%
10,000円以上15.2%

作業時間(累積)

3時間以上65.7%
5時間以上40.4%
10時間以上18.2%

作業時間は自由記述を解析した値。単位の記載がない4件を「時間」として解釈し、最大210時間の回答が1件含まれている。四捨五入のため報酬帯の合計は100%にならない。

報酬が1,000円未満だった仕事は43.4%。3,000円未満まで広げると59.6%になる。契約形式は固定報酬が68.7%で、200円未満の仕事だけでも24.2%あった。

そのうえで作業時間を見ると、3時間以上かかった仕事が65.7%、5時間以上が40.4%、10時間以上も18.2%ある。中央値は3時間30分だった。

作業時間は自由記述を解析した値で、「8」のように単位が書かれていない回答を時間として解釈したケースが4件ある。210時間という非常に大きな回答も1件含まれている。だから、この記事では平均時給を主指標にしていない。それでも、低い報酬帯の仕事がかなり多い一方で、数時間以上かかっている仕事も多いという構造は見える。

ここは、生成AIによって「受けられる仕事」が増えることの裏側として考える必要があると思う。AIによって、これまで成立しなかった仕事が成立するようになる。でもそれは同時に、以前なら割に合わなくて断っていた低単価の仕事まで、「AIを使えばできる仕事」として成立する方向にも働く可能性がある。

クラウドソーシングの低単価案件は、以前PDF・スキャン帳票をOCRしてExcel / CSVに変換するツールを作ったときにも実感していた。技術的に対応できることと、良い案件があることは別だった。今回のアンケートの数字は、その感覚をAIを使う側から見たものに近い。

クラウドソーシング案件の半数でAI利用ルールの記載なし

もう一つ印象的だったのが、クライアント側のAI利用ルールだ。

  • AI利用可と明記されていた:29.3%
  • 条件付きでAI利用可だった:18.2%
  • AI利用禁止だった:2.0%
  • AIについての記載はなかった:50.5%

半数の仕事で、AI利用について何も書かれていなかった。

さらに、AIを使ったことをクライアントへ伝えたかを聞くと、こうなった。

  • 伝えた:18.2%
  • 伝えていない:40.4%
  • クライアントから確認された:1.0%
  • AI利用を伝える必要がなかった:38.4%
  • その他:2.0%

生成AIが実務でかなり使われるようになっている一方で、仕事を出す側のルール整備はまだ追いついていないように見える。

それでも92.9%はまた受けたい

報酬の条件は厳しい。AIで多くの工程を処理しても、人間による修正は残る。クライアント側のAIルールも曖昧だ。それでも、同じような仕事をまた受けたいかという質問には、こう答えていた。

  • ぜひ受けたい:39.4%
  • 条件次第で受けたい:53.5%

合わせて**92.9%**が、再び受けることに前向きだった。生成AIを使った仕事は、少なくとも今回回答した人たちにとって、一度やって終わりの特殊な体験ではなさそうだ。

生成AIは仕事を奪うだけなのか

生成AIと仕事の話では、「AIに仕事を奪われる」という議論がよく出てくる。もちろん、実際に置き換わる作業もあると思う。でも今回の99件を見ていると、それとは少し違う変化も見えてくる。

AIがなければ受けていなかった可能性がある仕事が38.4%。AI利用割合が61%以上のグループでは、その割合が67.6%まで上がった。少なくとも今回の回答では、AIは既存の仕事を代替しているだけでなく、「自分には無理だった仕事」を受けるための道具にもなっているように見える。

一方で、その仕事の多くが高報酬とは限らない。AIを使っても人間によるチェックや修正は残る。クライアントとのAI利用ルールもまだ整理されていない。

生成AIによって仕事の境界は確実に動いている。ただ、それが「仕事が楽になる」という単純な方向だけに進んでいるわけではなさそうだ。

生成AIを使った仕事100件をゲームにしてみた

今回集めたデータを眺めているうちに、数字をグラフにするだけでは少しもったいないと思った。そこで、集めた回答をそのままゲーム世界のルールへ変換してみた。名前は「AI仕事工場」。

案件を受け、AIを使い、人間が修正し、クライアントへ納品する。報酬も、作業時間も、AI利用割合も、修正依頼の回数も、元になっているのは今回集めた実際の回答だ。小さな作業員たちが勝手に案件を取り、AI設備の前に行列を作り、人間修正所で詰まる。数字として見るのとは少し違った形で、「生成AIを使って仕事をする」という状態を眺められるようにした。

一つ断っておくと、この記事では時系列の整合性を確認できなかった1件を除外して99件を分析しているが、ゲームは制作時に使った収集時点の100件を体験データとして使っている。分析の母集団とゲームの母集団が1件だけ違うのは、そのためだ。

AI仕事工場で遊ぶ

眺めて楽しむピクセルオフィスという形は、以前Claude Codeの作業を7人のAI社員が働くピクセルオフィスにしたときの続きでもある。あのときはAIの作業を眺める道具だったが、今回はAIを使う人間の仕事を眺める道具になった。

まとめ

今回の99件で特に印象に残ったのは、AIがなければ受けていなかった可能性がある仕事が38.4%あったことだった。その割合は、AI利用割合の高いグループほど大きかった。

一方で、次の現実もある。

  • AIの出力をほぼ無修正で使った仕事は8.1%
  • AI利用61%以上でも、82.3%は何らかの修正をしていた
  • AI利用割合が高いほど成果が悪くなるという単純な傾向は、今回は確認できなかった
  • 報酬1,000円未満の仕事は43.4%
  • クライアントのAIルールは50.5%で記載なし

生成AIは仕事を全部やってくれる魔法の道具ではない。でも、今までなら受けられなかった仕事を、受けられる仕事に変える道具にはなり始めているのかもしれない。

その変化が働く人にとって良いものになるのか。それとも低単価な仕事まで成立させる方向へ進むのか。今回の99件を見る限り、たぶんその両方が同時に起き始めている。